The Introvert
永遠のローラ |
わたしたちの生活はさしたる変化もなく、平凡だが幸福な日々を送っていた。 その後、わたしのハレンチなお仕置きは、ローラがハイスクールを卒業するまでに二回ほど膝の上にのせただけだった。 実の父親ならともかく、わたしの眼には娘の美しいお尻があまりにもエロチックに思えてきて、この行為を続けることが望ましくないと感じるようになったからだ。 普通の男なら、ここで一歩踏み込んで、大人になったローラをいずれ自分のものにしたいと考えるのだろう。
ローラは何やらあわてて身支度を整えていた。 「パパ、あたし、二日間友だちの家に泊まるからどうか心配しないで」 「またかい? ちゃんと帰ってくるんだよ。ここがおまえの家なんだから」 「・・はい。でも、そういえば、パパにおしおきされなくなったわ。どうして? あたしをもう大人の女として認めてくれたの?」 「いや、まだまだ子供だよ。二日経って帰ってこなかったら、家には入れないよ。近くの公園でお尻をたたいてやるからね」 「そんなのいやだわ。とにかく遅れちゃうから、行ってきます」 ローラはほかにも何か言いたい様子だったが、時計をみると慌てて出かけていった。
しかし、ローラは一週間が過ぎても戻らなかった。 捜索願を出そうと考えていたとき、一通の手紙がわたしのもとに届いた。
(わたし、二年前から付きあっている彼氏がいて、その人と一緒に暮らすことにします) (パパには、十三歳のときから大事に育ててもらって、ほんとうに感謝しています) (心配をかけて御免なさい。でも連絡先はどうか勘弁してください。とても悪いと思ってます) (パパにはよく叱られて、たくさんお尻をたたかれたけど、お陰様でこんなに大きくなりました) (これからもパパが、末永く健康でいらっしゃることをお祈りいたします。五年間、ほんとうに有難うございました)
わたしはこの手紙を読んだとき、かなりのショックを受けた。
ひょっとすると、わたしのほうが尻をたたいて彼女を追い出してしまったのかも知れない。 わたしはローラを追いかけるつもりはなかったし、とにかく彼女が幸福な人生を歩んでくれることだけを願っていた。
わたしは、地味で平凡だが、至って満足な日々を過ごしている。 よくよく考えてみると、これが変人に相応しい本来の生活だと思う。 ローラも今では二十八歳になっている。
ビデオはその出演者たちに永遠の若さを保障し、当時の情景を変えることもない。 また、ときには自分が主人公にさえなり得るのだ。
|
【おわり】 |
Menu Page |