Secret Book
秘密の本 |
「
君はママや学校の先生にも、よくお尻をたたかれたのかい?」 「
ええ、しょっちゅうなの。いけない娘だったから。でもウィリス先生のおしおきが一番、感じたわ」 「
それはどうしてなんだ?」 「
パチンとやられたときにね、わたしみたいに大きなお尻でも大人だと全体に占める手のひら面積が広いのよ。ママや学校の先生がそうなの。でもあの人は手のひらが小さいもんだから、次はどこに落ちてくるかなぁ〜なんて変な想像してしまうのよ。なんだか次の一打を待ち受けるような気分。 「
それでね、次は一番感じやすいところかなぁ〜なんて思ってて、ほんとうにそこに落ちてくると思わず喘ぎ声を発してしまうの」 「
つまり双子山に雷が落ちるのは、谷間のふもとあたりが君にとってベストなわけだね?」 「
そうよ。ウィリス先生に罰をもらったことのない女の子たちには、あの感触はわからないと思うわ」 「
それはもうわかってるよ。でないと念願の大学に入れるわけがないじゃないか」 「
そうでしょ。変なこと考えるのはたまによ。それにね、気が進まないときのおしおきほど痛いものはないんだから」 娘は喋り過ぎたせいか、喉が乾いたみたいで紅茶を一気に飲み干していた。 「
いまでもべビ−先生におしおきされているのかい?」 「
ベビ−先生? つまり、ウィリス先生のこと?」 「
そうだよ。君はベビ−先生とは呼ばないのかい?」 「
呼べないわ! だって、そんなことあたしが言ったら、それこそお尻ものよ!」 「
お尻もの?」 「
あぁ、ごめんなさい。お仕置きものってこと。つまり、お尻をたたかれるわ」 「
面白い造語だね。そうか、じゃあ〜まだおしおきされているわけだ」 「
でも、ちょっと不満なの。やっぱりハイスク−ルを卒業するまでがよかったわ。だって恋人同士になっちゃうと、なんだかプレ−みたいでいやなの。わたしは、厳しい先生といけない女生徒という環境でほんとうのお仕置きをされたいのよ」 「
その気持ちはよくわかるよ。君もずいぶんマニアだね?」 「
かも知れないわ。やっぱり、いたずらな子供として扱われたいの」 「
なるほどね。ところでママは君たちの関係を知っているのかい? 」 「
ママは知らないわ。でも・・もし、知れたら大変だわ、わたしきっと・・ 「
きっとお尻ペんペんだよ」 「
かも知れないわ。あたし、まだまだ子供なんだもん。もうママにはしばらくされてないけど」 「
それでわかったよ」 「
何が? 何がわかったの?」 「
ビ−チでね、君のお尻が少し紅いって妻と話してたんだよ」 「
もう〜やっぱり見たのね! あたしね、おじさまにきっとお尻も見られてるって言ったのは、紅くなったお尻のことなの」 「
そうだったのか。それで、紅くしたのはベビ−先生だね?」 「
そうよ。待ち合わせの時間に30分も遅刻しちゃったのよ」 「
わざと遅刻したんじゃないのか?」 「
もう〜おじさまったら意地悪ね。わざとじゃないわ」 わたしたちは、このあとも「おしおき話」に盛りあがった。 なかには、母親から事前処置を施された屈辱的な体験も聞かせてもらった。 娘のお話はまるでエロチックな文庫本のようだった。 そもそも、娘らしい優美な音色で何度も発せられる「お尻」という言葉そのものが、わたしを強く刺激していたのだ。 「
ほんとう? 完成したら、わたしにも見せてね」 「
もちろんだよ。タイトルは秘密の本だ」 「
わたしが主人公よね。恥ずかしいけど楽しみだわ」
「
えぇ〜、面白そうね。それってまた先生とわたしの物語なの?」 「
違うよ。今度はフィクションだ。タイトルはもう決めている」 「
なんてタイトルなの? 教えて?」 「
父と娘だ」 「・・・・・??」 「
ほら、わたしが父で、君がその娘だよ」 「
・・・・・・」
若い娘は、頬を紅く染めてうつむいてしまった。目を伏しめがちにして・・。 その美しく大きな瞳は、やがて長い睫毛ですっかりと覆われてしまった。
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