Lure ・ 終 章

厳しいパドル打ち





翌朝。ジョ−ジは落胆していた。残数を調べると2本少ないのだ。何度も数えなおす夫にしびれを切らしたメアリ−は、
娘を大声で呼びつけた。

「 ケイト! 今すぐ下に降りて来なさい!」

娘は呼び出された理由がよくわかっていた。そしてソファ−に腰をおろした両親の前に立たされた。

いつものように母親の身の竦む叱責が始まった。


「 ケイト! お父さまはね、健康管理のために一日に吸った煙草の本数と残数を記録しているんだ。お医者さんの指導でね」

「 ・・・・・・・・・」

「 おまえは昨夜、煙草を吸ったんだね? 本数は2本、どうなんだい?」

「 ああ、ごめんなさい。つい好奇心で・・・だって素敵なパッケ−ジでフランス製なんですもの」

「 おまえは一体、何言ってるんだい? そんなこと、まったく理由にならないよ、いつから吸ってるんだ?」


ケイトは母親の厳しい追及で三ヶ月前から手をつけていることを白状した。


「 まったく始末に終えないね! わたしたちはね、おまえをそんな子供に育てた憶えはないよ、とにかく今からお父さまがうんとお仕置きしてくださるからね」

「 お、お父さまが? い、いやです、だって、お父さまは男なのに、そんなの絶対いやぁ〜、恥ずかしいの、うわぁ〜ん」


娘は驚きと恥辱のあまり声をあげて泣き出した。しかし、驚いたのは娘だけではなかった。


「 お、おい、君は正気なのか?  お、俺は男なんだぞ、十八歳になった娘のお尻をたたくなんて、そ、そんなこと出来んよ。しかもすっかり大きくなってるんだ・・・い、いや体のことを言ってるんだよ、ケイト。 とにかく俺は仕事があるんだから」

ジョ−ジはそう言ってバッグを手にするとあわてて、出かけてしまった。

いささか、安心した様子の娘に、メアリ−は厳しいしつけの手を緩めなかった。


「 ホッとしたようね、でもお父さまより、わたしのほうが厳しいってことをお忘れでないよ」

「 ・・・・・・・」

「 何してるんだい! 早くパンティ−をおろして、お尻をだしなさい!」


ケイトは震える手でスカ−トを捲り上げ、パンティ−をおろすと、いつものように母親の膝の上に乗せられた。


「 煙草を吸って大人の気分に浸ってたのかい?  でもそんな時は、すぐ童心に返してあげるからね、うんとお尻を痛くして」



パシ−ン! ピシ−ン! パチ−ン! ピシャ−ン!  パシ−ン! 


「 あぁ、いたぁ〜い、もう二度と煙草は吸いません、いたぁ〜い、ごめんなさ〜い!」


ケイトはまるでいたずらっ児のように、長々と伸びた美脚を交互に蹴り上げていた。


パチ−ン! ピシィ−! パシ−ン! ピシイ−ン! パァ−ン!


そして平手打ちは意外にも五十回で止んだ。
しかし、次の瞬間、ケイトは再び大声で泣き出した。母親があらかじめ用意していたパドルを娘の尻の上にのせたからだ。その感触で、それが何であるか、すぐにわかるのだ。過去の苦い体験で、目で確かめなくてもお尻で理解できるからだった。

パドルが使われるのは実に6年ぶりのことだ!



パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン! パン! 


「 あぁ〜、許して〜、いたぁ〜い、もうしませんから〜、そんなにぶたないで〜」

それでも、母親は娘の涙声を無視してせっかんを続けた。

パドルはケイトが小学生の頃に使われていた物だった。だから成熟した娘の尻には小さすぎて、サイズが合わなかった。ケイトの涙は苦痛だけではない。小さな子供のころに使われていた同じ道具で、せっかんされているという屈辱が、苦痛と重なりあって涙を溢れさせているのだ。母親はそんな娘の心境を承知のうえで、心理的懲罰を加えていた。

そして50発のパドル打ちを終えて、やっと解放された。


「 さあ、十分反省したかい? 今日のコ−ナ−タイムは30分で許してあげるよ、その代わり、今度見つけたら、お父さまにお尻をたたいてもらうからね、わかった?」

「 はい、ごめんなさい、お母さま」

メアリ−は冷蔵庫から氷を取り出すと、火のように熱くなった娘の尻を優しく冷やしてやった。



その夜、ジョ−ジはいつもより早く帰宅した。ことの成り行きが気になっていたからだ。


「 ほう、パドルね、まだあったのかい?  もうとっくに捨てていると思ってたよ」

「 それはあの子も同じだったみたい。でも使い切るまでは捨てませんよ」

「 しかし、煙草は一度おぼえると、なかなかやめれんからな、今度見つけたら、俺がせっかんしてやる」

「 ふん、口ばっかり。それにあなたは男ですよ、そんなこと、わたしが許しませんわ」

「 おい、今朝の話と違うじゃないか?」

「 あれは嚇しですよ、心理的懲罰なんです。お仕置きするのはわたしだけで十分」

「 俺にだってあの子をせっかんする権利が・・いや、しつけをする義務があるんだ」

「 あなたは知らないでしょうけどね、あの子のお尻、もうすっかり大きくなってるのよそれにとっても色っぽいの。
膝にのせて、もし変な気でも起されては厄介だわ」

「 おいおい、俺は父親だぞ、娘をお仕置きして興奮するなんて、そんな馬鹿な親がどこにいる? ほんとうに俺の娘ならな」

「 あなた、それ本気なの? 自分の浮気は棚にあげて。お望みなら、今度いたずらしたとき、自分の眼でご覧になれば?
きっとびっくりするわよ。でも娘のお尻をたたいて、元気になったら承知しませんわよ、私にはちっとも反応しない癖に」

「 わ、わかったよ。お仕置きはおまえに任せる。おまえが母親ってことだけは疑いのない事実だからな」

「 また、厭味ですか? もういいですよ」


その後もケイトは母親の罠にまんまとはめられ、痛いお仕置きを味わった。
一方、冷え切っていた夫婦仲はしだいによくなっていった。「娘を立派に成人させる」という共通の目的をもって行う共同作業によって、コミュニケ−ションも活発になったからだ。

ケイトはますます美しくなり、艶やかな肉体はさらに成熟味を増していた。しかしそんな娘も囮の網にかかると絶対、逃がしてはもらえなかった。どんなに抵抗しても行き着く場所は母親の膝の上だった。その定位置で涙声も嗄れるほどお尻をたたかれてお仕置きされた。



そして、囮教育を始めてから一年余りが経っていた。


「 しかし、ケイトも見違えるほど立派になってきたな、ところで・・おまえ、まだあの子にお仕置きしているのかい?」

「 もう、膝にのせる口実がなくなったわ、でも、もし悪いことをしたら・・・・」

「 おいおい、もう不自然だよ、とにかく囮のほうは終わりにしよう。 そろそろ娘の成長を認めてやることだ」

「 そうね、あなたにはずいぶん協力してもらったわ」

「 お互いな、ところで・・ひとつ聞きたかったんだが・・・」

「 何ですの?」

「 おまえ、どうしてそんなに次から次へと、囮のネタが思い浮かぶんだい?」

「 それはね・・ふふ・・言いたくありませんわ、それよりあなたの代物、何とかなりませんの?」


メアリ−はひとりベッドにはいると、背中を向けて眠ってしまった。


何のことはない。メアリ−は母親にされてきた経験をそのまま、娘に実行しているだけだった。

                                                                                                       【おわり】




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