巴里の憂鬱・第六章
ミシェルの償い




マクシミリアンはすっかりご機嫌だった。そして、新しい未知なる世界を発見した歓びに陶酔していた。
ミシェルがこんなに使えるとは思わなかったのだ。

自治会の会合のテ−マは「夏休みの子供の教育としつけ」だった。そこには幼稚園児からハイスク−ルまでの子供をもつ母親たちが参加の対象となっていた。だが、母親たちの年齢は上下で親子ほどの差があったのだ。

(今日こそは体罰禁止を唱える若い母親たちの鼻をへし折ってやる)

マクシミリアンはすっかり意気込んでいた。

(そうだ! あの若い母親たちも膝の上に乗っけてお仕置きしてやれないだろうか? しかも、奴らの子供の前でさ、「あなたがいたずらすると、監督不十分でお若いママが、おばさまからこうやってお尻をたたかれるのよ」なんて言いながらね)

マクシミリアンは想像力を逞しく働かせては、幸福にもひとり酒で酔ってくるのだった。

 

一時間が経とうとしていた。ミシェルは心配そうに、ときおりドアから顔を出して姉のほうを見やっていた。激しい痛みが和らいでくると、今度は羞恥の感情が蘇ってくるものだ。ソフィ−は幼い弟の視線を痛いほどうしろの膨らみに感じていた。

三時のチャイムが鳴ると、ソフィ−は足早にキッチンに向かった。そして冷蔵庫の中から氷を取り出すと、折檻で熱くなった尻を冷やし始めた。ミシェルが後ろに付いて来ていたが、もうどうでもよかった。すべてを曝け出したのだ。そして、階段を駆け上がり自分の部屋に戻るとベッドに身を投げ出した。

壊れたガラスのところは雨戸が閉められていた。部屋は少し暗かったが、写真も台無しになってしまったので見るものは何もなかった。ソフィ−は継母を殺してやりたかった。でも、そんなことがどうしてできようか。たとえ若さと力で勝っていても権威に勝つことはできないのだ。あの継母は社会的に認められた大人であり、何といっても自分はまだ子供なのだ。抵抗したところで何になろう。結局、最後にはまた膝の上に乗せられて、お尻をたたかれるのだ。今の彼女には、もうこれ以上の折檻には耐えられなかった。



締め切ったドアのすぐ外にはミシェルがいるようだった。

(たたくならボクをたたいて、お姉さんはたたかないで)

ソフィ−はミシェルの言葉を想い出していた。今はミシェルを恨んではいない。ただ、恥ずかしくて口も利けないだけなのだ。でもこのままではミシェルが可哀相だ。ミシェルは小さな胸を痛めて苦しんでいるのだ。


「 ミシェル! そこにいるんでしょ、入ってきてもいいのよ」

ドアが開き、うなだれたミシェルが全身を震わせて入ってきた。その顔は激しい後悔に苛まれ、眼はすっかり泣き腫らしていた。そして、小さな唇を震わせて何かを喋ろうとするが、言葉にならなかった。

ソフィ−は優しく眼で合図を送ると、両手を広げてやった。すると、ミシェルは大声で泣き出しながら、優しい姉の胸に飛びこんだ。


「 ああ〜ん、うわあ〜ん・・お姉さ〜ん、ごめんなさ〜い・・ボクが悪かったんだ・・ボクのせいで・・ああ〜ん・・うわあ〜ん・・・」

さらに物凄い勢いで泣き始めた。ミシェルの顔は姉の豊かな胸の谷間にすっぽりと埋めつくされていた。ソフィ−はミシェルを抱きしめた。


「 ミシェル、お願いだから泣かないで。お姉さんはあなたを恨んだりなんかしていないのよ。だって、あなたは自分を犠牲にして、あたしを守ろうとしてくれたんだもの。とっても嬉しかったの。さっきは怒ったりしてごめんね、ミシェル」

この姉らしい優しい言葉は更にミシェルの心を追い詰めた。一度は顔をあげて姉の顔を見やったが、まるで言葉にならず、再びやわらかい胸に顔をうずめて泣き続けた。ソフィ−は幼い弟を強く抱きしめた。こんなに弟を愛しく思ったことはなかった。
そして、いつしかソフィ−も一緒に泣いていた。

 
それから更に一時間が経っていた。いまはミシェルもすっかり元気を取り戻していた。母親の帰りは夜だし、それまではふたりだけの自由時間なのだ。ふたりは仲良くベッドにうつぶせになって並んでいる。ソフィ−はパンティを下ろしたまま、ムッチリしたお尻をまるだしにしていた。もうミシェルの前で隠す必要もなくなっていたのだ。

それにこうしているほうが夕方の涼しい風でお尻が冷やされてとっても気持ちよかった。
そして年の離れた姉と弟はまるでお友だちのように楽しくお喋りを続けていた。


「 ねえ、お姉さん、ボク・・信じられないよ」

「 信じられないって? 何が?」

「 だって・・お姉さんがママにお尻をたたかれたこと」

「 ・・・・ど・・どうして?」

「 だって、お姉さんは大人なのに、おかしいよね?」

「 あら、そんなことないわ、あたしはまだ子供なのよ。そりゃ、あなたからみれば大人に見えるかも知れないけど、お母さまから見れば、あたしだってまだ小さな子供なの」

「 そんなことないってば、だってママより背は高いし、オッパイやお尻だって・・・」

「 い、いやよ、ミシェル、そんな言い方はよして」

ソフィ−はうつぶせのまま、慌ててパンティを引き上げた。


「 あなたって、随分ませてるのね、誰がそんなこと教えたの?・・でもね、体が大きくなったからって大人になったとは言えないのよ、だって弟と喧嘩をしてガラスを割ってしまうなんて、大人ならそんなことしないわ」

「 そりゃそうだけど・・・。お姉さんはママによくお仕置きされるの?」

「 ええ、しょっちゅうなの、あなた知らなかったでしょ?」

「 うん、全然知らなかったよ、ボクと同じだったんだね、いつもお尻ペンペンなの? さっきみたいに」

「 ・・・あぁ・・ミシェルったらもう〜・・でも・・どう説明したらいいのかしら・・あのね・・お母さまはあたしのお尻が大好きなの」

「 へえ〜本当? だったらボクのお尻も大好きなんだね、でも、大人ってどうしてお尻なんかたたくんだろうね? だってさ、うんこをしたり、屁をこいだりする臭〜い場所なんだよ、たたかれるボクたちはとってもかっこ悪いよね、お姉さんはどう?」

「 ・・・・・・・・ 」

とても子供らしい発想だが、これには姉は返す言葉はなかった。ただ美しい頬を真っ赤に染め上げるばかりだった。


「 ねえ、ミシェル、お願いがあるんだけど・・・」

「 なあに? お願いって?」

「 あのね、きょうのことなんだけど・・誰にも言わないって約束して欲しいの。だって、お姉さん・・恥ずかしくって・・・街を歩けやしないわ・・」            

「 きょうのことって? 何のこと?」

「 あの・・その・・つまり・・あたしがお母さまにお仕置きされたこと」

「 うん、約束するよ、お姉さんがママにお尻ペンペンされたなんて誰にも言わないよ」

「 あぁ〜ん、もう〜ミシェルのいじわる〜・・あなたの言葉を聞いてると・・あたし・・もう恥ずかしくって・・いやよ〜」

「 どうしたの? お姉さん。誰にも喋らないし、絵日記なんて書くもんか」

ソフィ−は弟に心を見透かされているようでいやだった。ただ、今日の出来事が幼い記憶から早く消え去ることを願っていた。


「 ねえ、お姉さん、ボクね、償いをしたいんだ」

ミシェルは胸のポケットから小さなケ−スを取り出した。


「 これね、友達のジョセフがくれたんだけど、お仕置きされた後にお尻に塗るクリ−ムなんだ。ボクもママにやられたあと、塗ってみたんだけど、すごくよく効くんだよ」

「 ・・・・・・・・ 」

「 ボクのせいでお姉さんが痛い思いをしたんだから、ボクがお姉さんのお尻にこれを塗ってあげるよ」

そう言ってミシェルは体の向きを変えると、素早く姉の腰に乗っかった。


「 あぁ、何するのよ、ミシェル、やめて・・やめてよ・・だって・・そんな小さなケ−ス・・あたしの・・に塗るとクリ−ムがすぐになくなっちゃうわ」

「 あ、そうか、お姉さんのお尻、とっても大きいからなくなるかもね。でもいいんだ、またジョセフにもらうから」

「 あぁ、やめてよ〜、やめてったら〜、あぁ〜ん・・」

この最後の言葉は、ソフィ−の腰にまたがっていたミシェルが、ソフィ−の両腕を自分の両膝でしっかり彼女のわき腹に締めつけて固定してしまったからだ。さらに幼い手で真っ白な姉のパンティをまくり下ろしたのだ。


「 あぁ〜ん! いゃ〜、あなたって、なんて子供なの〜! いゃ〜ん!」

「 大丈夫だよ、お仕置きじゃないんだから」

上半身の自由を奪われたソフィ−はまるで継母にお仕置きされているときのように、お尻を振り、両脚をバタバタさせていた。


「 お姉さん、そんなに暴れちゃだめだよ」

ミシェルはたっぷりと広いソフィ−の尻に無造作にクリ−ムを塗り始めた。自分のいたずらで犠牲になった姉のお尻を少しでも治してあげようとする純粋な子供心からしている行為なのだが、ソフィ−にとってはたまらない屈辱だった。十八の娘が八つの弟のまえでお尻をたたかれ、その手当を小さな立会人から受けている。

ああ・・何て屈辱的な一日だろう! ソフィ−は呻き声をあげずにはいられなかった。

しかし・・・ひんやりと肌に伝わるクリ−ムはあまりにも気持ちよかった。

「 あぁ〜 」

いつしか抵抗をやめたソフィ−は瞳を閉じて、幼い医者から素直に「手当」を受けていた。




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