Spanking Scene.


 The Introvert

 ビデオの性教育


「ローラちゃん、おじさんの持っているビデオを観るかい? あと十本あるんだよ」

「えぇ〜! まだ十本もあったの! 是非、みたいわ。早く頂戴」

「おや、どうしたんだい? 古いのは、あれほどいやがってたのに?」

「ううん、古いのも捨てたものじゃないわ。けっこう楽しめたのよ」

「楽しめたのかい。それはよかった。じゃあ、これを部屋に持っていきなさい」

わたしは大きな袋に十本のテープを入れて、ローラに手渡してやった。

このなかで八本は、なんの変哲もない普通のものだったが、残りの二本にスパンクシーンがあった。
わたしは、とりわけそのうちの一本に期待していた。

これには、きっとショックを受けることだろう。
なにしろ、ハイスクールガールがお尻をまるだしにされて、父親に折檻される場面が含まれているのだ。

このシーンだけをみると、まるで成人指定のようだが、作品を全体的にみると、まったくエロチックなものではなかった。

収録時間が長く、肝心の場面はワンシーンしかない。

しかも、作品のテーマは、大国のビジネス戦争を糾弾するといった政治的な風刺物だったのだ。

これはインテリゲンチャーの映画監督がよく用いる常套手段だった。


ローラが、この場面をみつけるのに、さほど時間はかからなかった。

それは、手渡してからわずか三日目の夜だった。

赤いミニスカートにオーバーニーの白いハイソックスを穿いた美少女が画面に登場した。いよいよ始まりだ。
深夜のデートを楽しんで、彼氏の車で家まで送ってもらったところだ。やがて、玄関から鬼のような形相をした父親が現れた。

ローラはじっと画面に見入っている。

午前様の娘は、父親に耳を掴まれてリビングルームに引っ張られていった。
そして、がっしりした父親の膝の上に香ばしく成熟した肉体が、への字にのせられた。

ローラは早くも興奮してきた様子だった。しかし、本番はまだまだこれからなのだ。

やがて、父親の手で赤いミニスカートがまくりあげられ、真っ白なパンティが膝までおろされた。
ここで、ブラウン管には艶々とした大きなお尻が、画面狭しとむき出しにされた。

そして、父親の渾身の平手打ちが、豊かな膨らみに何度も叩きつけられた。


パァーン! パシーン! パチーン! ピシーン! パシーン! パチーン!


「いたぁ〜い! ごめんなさ〜い、パパ、許して〜

音声は聞こえなかったが、わたしはこのシーンのすべてを記憶していたのだ。

このあと、ローラの行動は素早かった。

テープをかなり前に巻き戻すと、背もたれのある椅子を引っ張り出してきた。

それをテレビに向かって横向きに置くと、その上に腹這いになったのだ。

更に自分でスカートをまくり、ズロースをおろすと、ひたすらそのシーンがくるのを待っていた。
どうやら、椅子の座部を父親の膝に見立てているようだ。そうすると、背もたれは彼の上半身ということになる。

やがて、スパンクシーンが始まると映像を眺めながら、ほぼ同時進行に自分の尻を叩き始めた。
画面の少女と同じように両脚をバタバタさせながら。

その後、彼女は同じ行為を何度も繰り返していたのだ。ローラのお尻はもう真っ赤に腫れあがっている。

わたしの期待通り、ローラは異常なまでに衝撃を受けたようだった。

暫くして、ローラは部屋の明かりを暗くすると、激しくオナニーをしていた。
それは耳もとまで、息づかいが聞こえてくるようなほど、ひどく興奮している様子だった。

しかし・・・興奮していたのはローラだけではなかった。



それから、幾日か経った休日のこと。

わたしはローラにウィンドゥショッピングに連れていけとせがまれた。
これといった予定もなかったわたしは、リッチモンドにある新しい百貨店に連れていってやることにした。

ウィンドゥショッピングとは名ばかりで、いつも店内を廻り歩いたあげく、最後には彼女が気に入った服を買わされてしまうのだ。

「ねえ、おじさん。これ買ってぇ〜。とってもかわいいよ」

「だめだめ。今度の給料日まで待ちなさい」

わたしは、見向きもせずにそう答えた。

「えぇ〜、そのときにはもう売り切れてるわ、ねぇ〜、お願い」

振り向くと、彼女の右手には赤いミニスカートが握られていた。そして、左手に持っていたのは白のハイソックスだった。
これはローラを刺激した、あのビデオのなかの少女と同じスタイルだ。

わたしは、内心で微笑みながら、わざと渋い表情をしてみせた。

「そんな短いスカートを穿いたら、下着が見えちゃうじゃないか、 それでもいいのかい?」

「・・い、いいわ・・だって、あたし、長い脚をもっと引き立たせてやりたいの。おじさんにもきっと歓んでもらえるわ」

「・・・・・・」

わたしは、この年頃の少女がどこまで本気で喋っているのか、よくわからなかった。
おそらく、何も考えずに発した言葉だろう。どこの子供にもよくあることだ。

とにかく、わたしにはこのおねだりを拒む理由などあるはずもなかった。
きっと、これらを身に着けて、ビデオを観ながら独りで楽しむに違いない。

わたしの熱心な「性教育」が実を結びつつあるのだ。


しかしその後、わたしの予想は大きく外れた。


それは失望ではなく、ローラがわたしが望んでいた以上の環境を提供してくれたからだ。

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