Growing Laura
The Introvert

 娘の成長






それから三年余りが過ぎた。

その間、わたしがローラとの生活をどんなに満喫したか想像するに難くないと思う。
娘のお尻に与えた罰の数多については、ここでそれを述べるよりも、むしろ諸兄方の逞しい想像力に委ねたい。

それに私たちの生活自体は、これといった変化もなく、取り立ててここに記すような出来事は何もなかったからだ。

ただ変化といえば、ローラが今ではすっかり大きくなって、優雅な娘に成長していることだ。
わたしは思春期の子供の成長が速いのは、よくわかっているつもりだったが、まさかこれほどとは思わなかった。

わたしには、この少女と出会ったのがつい昨日のことのように思えるのだが・・・。

変化といえば、もうひとつあった。それはローラがわたしのことを「パパ」と呼ぶようになっていたのだ。
これはけっして強要したものではなく、彼女からそう呼ぶようになっていた。


つまり、ショッピングでわたしにおねだりするときに、よく甘えた声でそう呼んでいたのが、
いつしか癖になって日常的に使われるようになってしまったわけだ。

パパの語源はあやしいものだが、美しく成長した娘にそう呼ばれると、私はひどく照れてしまって、すぐには返事ができなかった。


そんなわけで、ローラも今は十七歳になっていた。

彼女はもともと早熟だったが、この年頃になると、もう体のほうはすっかり成熟しきっていた。

容貌はますます美しく、それにうっとりするほど魅力的な体つきになっていたのだ。

私たちはよく鏡を横目に、お互いの後頭部を重ねあって「背較べ」をしたものだが、わたしはいつも情けない思いをさせられていた。
背丈はそれほど変わらないのに、娘の後ろに突き出した魅力的なお尻が自分の腰の部分にくい込んで、の字を描くからだ。

わたしはそのたびにローラに笑われていた。

そんな娘の成長ぶりを一番喜んでいたのは私だった。何しろ、彼女が十三歳のときに引き取って以来、手塩に掛けて育ててきたのだ。

いずれ、ローラも私の許から去っていく日がくるだろう。しかし、できることなら少しでも長くわたしの掌にのせておきたかった。
わたしには、この娘がいくら大きくなっても、まだ小鳥を飼っているような気持ちだったのだ。


しかし近頃、この美しく咲いた花に、悪い虫が寄生しているのではないかと心配するようになっていた。

ほとんど鳴らなかった家の電話が、頻繁に鳴りだしたのだ。そんなときローラは、わたしに受話器を取らせようとはしなかった。

そればかりか、ローラはいつも門限を破って夜遅くに帰宅するのだ。また深夜の長電話もわたしの頭痛の種だった。

今はローラも自分からお仕置きを望んで、わたしを挑発するようないたずらはしなくなっていた。
彼女の行動が演技でないとわかっているだけに尚更、その心配が大きかった。


最近では、もうめったにローラに罰を与えることはなかった。
それでも、これを許してしまうと彼女の将来の人格形成に悪影響を及ぼすと判断したときには、彼女をたっぷりとお仕置きした。

午前様だったり、ひどく振舞ったときには、今でもローラをわたしの膝にのせ、お尻を強くたたいて罰を与えた。

私はけっして折檻道具は使わなかったが、その分、たたく回数を多くして彼女が十分に反省できるだけの時間と痛味を与えてやった。

しかし、成長した娘にとって、わたしのこのハレンチなお仕置きは随分と屈辱的な仕打ちだったと思う。
何しろありとあらゆる罰のなかで、これほど子供扱いにしたお仕置きはないからだ。

ローラはときにひどく口答えをしたり、全身で反抗することもあって、わたしには少々、手に負えないこともあった。
ところが、不思議なことに私がひとたびお仕置きを告げると、娘は急に素直になって小さな女の子に戻ってしまうのだ。

「お尻をだしなさい!」 この言葉がわたしのお仕置きの宣告で、いまではもう決まり文句になっている。

わたしは、娘の美しい顔を覗きこむように凝視しながら、この台詞を発するのが好きだった。
それはローラが頬を真っ赤に染めて、何ともいえないほど初々しく魅力的な表情になるからだ。

その後、娘の表情はどんどん幼くなって、いつも抵抗することなく、美しく成熟した肉体を惜しげもなく私の膝に預けたものだ。

たたかれている間も尻を振ったり、脚をバタバタさせたり、下半身でもだえはするが手を使って抵抗しようとはしなかった。

これは、彼女がまだ幼いときに躾けたルールなのだが、いまでも素直に両手をしっかり床に付けているからだ。

ローラの成熟した高慢なお尻は、わたしの好色な平手打ちのまえにいつも無防備だった。

時に手に負えない大きな娘も、お仕置きのときだけは、まるで抵抗を知らない無力な赤ん坊のように思えた。


よく晴れた休日のこと。
わたしはローラにショッピングに連れていけとせがまれた。


「また、おねだりかい? わたしは安月給なんだよ」

「おねだりじゃないわ・・パパ、まさか忘れたの? 今日はあたしの十八歳の誕生日なのよ」

「・・・あ! これはうっかりしてた。すまん、すまん。つい忘れてたよ」

「もう〜パパったら〜、近頃、物忘れがひどいんだから」

「よし。じゃあ出かけよう。ところでおまえは何を買って欲しいんだい?」

「まだ決めていないわ。お店に行ってから選びたいの。とにかく早く出かけましょ」


娘と一緒に出かけるのは久しぶりだった。最近はもう、滅多にわたしを誘わなくなっていたからだ。

この日、百貨店のなかを半日も歩かされたあげく、娘が選んだのは最新型のパソコンだった。


「パパ、これ買ってもいい?」

「・・・・・・」

「ねぇ、いいでしょ? パパは会社でパソコン音痴だって言ってたし」

「わたしにも使わせてくれるのかい?」

「もちろんよ。あたしが先生になって厳しく指導してあげるわ。そのかわり怠けたりしたらお仕置きよ」

「わかった。これに決めよう。早くしないと売り切れちゃうぞ」

わたしは娘の言動に妙な昂奮を覚え、結局、高額なパソコンを買わされてしまった。


しかし、このあとパソコンには手も触れさせてもらえなかった。

いつもこんな風にわたしを手玉に取るのだった。




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