☆老紳士と娘☆

天使との出会い

わたしの名前はデヴィッド・グレゴリー。

もうすぐ八十歳になる老人だ。もはや余命幾許もなく、そろそろ自叙伝を綴ってみたく思い、筆を執った。
しかし、ここに紹介するのはわたしの「晩年期」だけにした。何故なら、若い頃は平凡に明け暮れる日々で、読者の好奇心をそそるような出来事は何もなかったからだ。無論、晩年の出来事も殆どの方には興味のないお話だ。
もし、少しでも興味を持ってくださる方がいらしたなら、きっとわたしと同じ性向を持った方だ。

さて、わたしの性向を明かさねば話が始まるまい。

わたしは若い娘のお尻を折檻することに強く欲情をそそられる。あの豊かな膨らみが赤く染められ、白い肌との見事な対照をなすとき、わたしの胸は激しく高鳴る。その欲情は年とともに薄らいではいったが、決して尽きることはなかった。

わたしの不幸は少年期に始まった。たまたま母娘のお仕置きの現場に遭遇したことで、屈折した性病に感染してしまったのだ。
娘が小さな少女なら記憶から消えていたはずだ。しかし、その美しい娘はすっかり成熟したハイティーンだった。
肉眼でシャッターを切った現場の光景はしっかりと脳裏に保存されて、その後、消えることはなかった。

そんなわたしも一度は結婚して男児を儲けたが、長続きしなかった。
そして三十四歳で離婚してから約半世紀、単調で孤独な独身生活を送った。

子供の成長は暫く気になっていた。年に一度のことだが、ハイスクールの運動会まで、木陰からじっと見守っていた。
しかし、バレーボールなど部活動のユニフォームを身に纏った少女たちが通りすがると、子供はそっちのけだ。息子の出番だろうが、はちきれそうなブルマーに包まれた、肉づき豊かな尻を眺めながら後を追っていく始末だった。
昔と違って、贅沢な食生活を物語る、栄養分に詰め込まれた膨らみがずらりと並んでいたのだから。

そんなわけでわたしは父親失格だった。

さて、前置きが長くなってしまった。
この孤独な人生に転機が訪れたのは実に七十五歳のときだった。

わたしはその頃、よくフォートワースの図書館に足を運んでいた。いまさら何かを勉強しょうと考えていたわけではない。
フランスの作家、ユーグ・ルベルの波乱の生涯に関心があっただけだ。大金持ちの放蕩生活から借金取りに追われる極貧の生活まで、謎めいた彼の生涯を明かす文書を断片的に収集しようと考えていたのだ。


そのころ、よく顔を合わせる若くて美しい娘に出会った。彫りが深く、輪郭の整った、シャープな顔立ちをした美人だ。
しかし、よく見ると頬や口許にどこか幼さを残している。ひょっとするとまだティーンエイジャーかも知れない。服装からしてもそう思えた。流行のミニスカートを纏い、成熟した長い美脚を惜しげもなく晒している。若く発育した尻は、短いスカートからいまにも外に跳び出しそうなほど元気よく膨らんでいた。

図書館の訪問はわたしの日課になった。

ある日、わたしは思い切ってこの娘に声をかけてみた。

「 お嬢さん、よくお見かけしますね。本がお好きですか?」

「 ええ。でも、お爺さんも毎日、来ていらっしゃるようですけど」

お爺さん、という言葉に多少の抵抗はあったが、この娘からみれば無理もなかろう。
それよりも彼女の声を初めて聞いたわたしは、明るく澄んだ音色に青春の初々しさを強く感じた。

「 ここに来ると、落ち着くんだよ。どうかね、もうお昼だし、一緒にお食事でも?」

「 ええ、いいわ。わたし、ちょうどお腹が空いてたんです」

「 ははは、それはよかった。じゃあ、たっぷりと召し上がればいい」

テーブルを挟んで対面した私は、改めて彼女の美しさを実感した。それにこんな年寄と同席してくれるなんて夢にも思わなかった。
よくしつけられた純粋な娘に違いないと思った。


「 わたしはデヴィッドと言うんだ。まあ、お嬢さんからみれば名前で呼びにくいだろうから、『おじさん』と呼んでも構わないよ」

「 ああ、さっきはごめんなさい。これからは『おじさま』って呼びます」

「 ところでお嬢さんのお名前は? それに年は幾つだい? まだ年齢を聞いても失礼でない年頃だと思うが・・」

「 名前はリンダ。背が高いからいつも二十くらいに見られます。でも、まだ十七歳なの。ハイスクールに通っている学生です」

「 ほう、そうかね。おじさんの子供のころと違って、最近はみんな大人っぽくなったからね」

「 おじさまは、若いころ、何をなさってたんですか?」

「 わたしは、ある出版会社の編集に携わっていたんだよ。もし、あなたが書物に関して質問したいことがあるなら何でも聞きなさい。ただし最近の書物のことはまったく無知だがね」

このあと、わたしは娘から長時間に及んで質問責めを浴びた。よほど興味を持っているらしい。しかし、自分の得意分野に興味を示してくれるのは心地よいものだ。お陰で話が途絶えることなく、有意義な時間を保つことができた。

会話が進むなか、彼女が借りた三冊の本のタイトルが目に留まった。
座席の横に置いてあるのだが、彼女が質問してきたジャンルとは無縁のものだった。

「子供のしつけ」、「家庭のおしおき」、「女子高校生のスパンキング」

これならむしろ、わたしが興味をそそられる分野だ。


「 お嬢さんは、将来、学校の先生になりたいのかね?」

「 いいえ、どうしてそう思うの?」

「 いやぁ、その本が目に留まってね。タイトルからそう思ったんだよ」

「 い、いえ。これは違うの。ちょっと調べたいことがあって・・・あの・・教育するほうじゃなくて、教育される側から読んでみたいと思ったんです」

そのとき、娘はいささか動揺したように思えた。


「 あら! もうこんな時間! 大変だわ! あたし、そろそろ失礼していいかしら?」

「 いいとも。お嬢さんが叱られるなら早く家に帰ったほうがいい」

「 そうします。親のしつけがとっても厳しいの。門限に遅れたりしたら、こっぴどく・・・・」

「 ははは、こっぴどくお説教されるんだね? お嬢さんの器量とスタイルじゃ、親が心配する気持もわかるよ」

「 お説教だけならいいけど・・しつこくたたかれるの。あとで椅子に座れないくらい」

「 ・・・・・・・・」


娘は丁寧にお礼を言うと、駆け足で図書館を去っていった。

そのときのわたしの動揺といったらなかった。年甲斐もなく、胸が高鳴った。

「しつこく・・・」、「椅子に座れないくらい」 

この短い言葉に、娘の肉体の部分がはっきりと表現されていたからだ。

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