Roman Books
抜粋




【パール傑作選 T】   作者不詳 山下諭一・訳編  昭和54年発行
(原題 The Pearl)


朝になって、わたしは父に、ケートとどのようないきさつで知り合ったのか聞いてみた。

父はつぎのように話してくれた。

「去年のクリスマスに、わしはロンドンで一日を過ごしたんだが、そのときクラブで、何人かの古い友だちに会ってな。友人たちのなかには、ハンプトン・コートにあるマダム・スチュワートの学校へ娘をやっているのがいたんだ。サー・トーマス・モアトンもそのひとりで、わしたちはワインを飲みながら、それぞれの色ごとの経験を話し合っていたんだが、そのうちに、学校の女の先生が生徒のお尻をひっぱたくことに話題が発展したんだよ。わしは、そういうのはたぶん昔の話で、いまではそんなこともないだろうと言ったんだ。

「サー・トーマスは、それはわしの間違いで、五十ポンド賭けてもいいと言うんだな。マダム・スチュワートのところへつれていって、証拠をみせると言うわけだ。

「わしはその賭けにのった。で、つぎの土曜日の夕刻、彼といっしょに、マダム・スチュワートの学校へ出かけたわけだ。サー・トーマスが正しいかどうかを見るためにな。

「わしたちがとおされた部屋には、罰をあたえるための道具がいろいろとそろっていて、部屋の一方のすみには、祭壇のように高くなったところがあるんだ。わしたちは、その壇のなかへはいりこんで、さて入口が閉められてみると、壇の前面にはのぞき穴がいっぱいあって、部屋じゅうをのぞけるようになっていた。壇のなかは暗かったが、部屋には、たくさん蝋燭があかあかと燃えていてな。

「やがて、女の子が六人、先生につれられてはいってきた。マダム・スチュワートは、わしらの頭のうえ、つまり壇にあがって、女の子たちの違反事項と、鞭打ちの数を読みあげたんだ。

「可愛い罪人たちは、お尻を壇のほうへつき出す恰好でならばせられ、それでわしらは、鞭でふとももやお尻をひっぱたかれるたびに、女の子たちが身をよじったり、尻をくねらせたりするのを、たっぷり見物したわけだ。それに、脚のあいだからのぞく可愛い谷間も、よく見えた。

「そのとき罰を受けた女の子のなかに、ケートがいたんだよ。ケートのきれいなお尻へ鞭が打ちおろされるたびに、谷間の唇のふるえるさまが、わしの気持をとくにひきつけたんだ。しまいには、その女の子の谷間に、よろこびのうるおいが、まるで真珠のような粒になってにじみ出すのが、はっきり見えるようだった。その感じやすさに、わしはすっかりひきつけられてな、そこでマダム・スチュワートに、しかるべきお礼はさせてもらうから、ケートをつれて帰るわけにはいかんだろうかとたのみこんでみたんだ。


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maid

【閉ざされた部屋】   作者不詳 行方未知・訳  昭和53年発行
(原題 A Man with a Maid)


あちこちと捜したあげく、目当てのものが見つかった。それは弾力性に富むひどく柔らかな、痛みは与えるが決して肌に痕を残さぬよう工夫された、柔軟な質の乗馬鞭である。自分の望むままを手にするために、アリスに力をふるわねばならない、そんな状態にいささか疲れていた。だから、約束を果たさなかった結果がどうなるか、彼女に思い知らせておくのも、有用なやり口であろうと考えたのである。

女の子に分別を弁えさせるには、できれば裸の状態で、傷を残さぬ程度に鞭打つことが一番いい。眼前のアリスは裸身を晒している。しかも鞭をふるうには最適の姿勢をとらされている!

鞭を手にして、再び彼女のほうへ向いた。すぐさま自分の運命を察知したのであろう、身をふり解こうと激しくもがきながら、慈悲を求めて悲痛な叫び声をたてた。
むろん哀れみを乞う言葉には耳もかさない。彼女の尻を自由にできる位置に立ち、おもむろに肉づきの豊かな部分に真一文字、鞭を打ちおろした。


(中略)


わたしはこれまで一度といえど女の子に鞭を使ったことはない。ただ本や他人の話で鞭をふるう歓びを知らないではなかったが、その実際があれほどありありと想い描いていた予想をいかにはるかに越していたか思い知ったのだ!

しかも鞭打つ裸の娘は他ならぬアリスである。わたしの欲情の対象、かつてわたしを袖にした娘、今まさに凌辱しようとする女の子以外の誰でもない!

狂気に気も狂わんばかり、苦痛に満ちた悲鳴も叫び声も耳に入らなかった。残酷なまでに細心の注意を払って、臀部の一番柔らかな部分を選んで鞭を打ち、時には甘美な肉のふくらみの一方をねらい、次いでもう一方、あるいは両方横一文字と打ちおろす。大きく開いた太腿の傷つきやすい内側を打ちさえした。

彼女の口をつく叫び声は、欲情にとり乱したわたしの耳にはさながら音楽であった。もがき、よじるアリスの姿態、腰から尻の煽るような揺れ動きは、わたしの眼を虜にした。



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