Roman Books |
抜粋 |
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アリスがびっくりして立ち上がり、わたしたちをいぶかしげに見た。 「この男が、きみの財布からお金をかすめ取ったんだ」 「まあ、なんてことでしょう。でも、いったいどうしてそんなことをしたのかしら?」 「わたしにではなく、この男に聞いてみるんだな」 わたしは若者のほうに向いた。 「わたしは暴力は好まないが、しかし、ほんとのことを話さないと、痛い目に会うことになる。きみの雇い主に話せば、首は間違いないだろう。しかし、泥棒として警察に突き出されるか、たっぷりとお仕置きを受けて帰してもらうかは、きみしだいだ。年はいくつだね?」 「十・・・・八歳です」 若者は震える声で答えた。 「それにしても、よくもこのようなあさましいことをしたものだ。お金が欲しいなら、はじめっから、わたしに頼むという考えを持たなかったのかね?」 (中略) 「お願いですから、それだけはやめてください。そんなことになれば、叔母が死んでしまいます。それくらいなら、さっき、あなたがおっしゃられていたように、あの、お、お仕置きを受けるほうがましです・・・・・・」 「この人、本気でいってるんだわ」 アリスが少しばかり同情のこもった声でいった。 「よろしい、ただちにお仕置きにかかろう。わたしといっしょにくるんだ。きみがほんとうのことをいってるかすぐに分かるよ」 (中略) 「アリス、願わくは、ウィル君のワイシャツのボタンをはずして、できるだけ高くたくし上げてくれないか? それに下着もだ。盗っ人には裸の背中が格好の折檻の場所だ」 「そんなこと」 若者はふいに息を喘がせ、叫んだ。 「裸にするのはやめてください、お願いですから。その代わりに、二倍打ってくださってもかまいません! ですから、裸にするのだけはやめてください!」 「盗っ人にしては、いやに慎ましいじゃないか」 わたしはからかうようにいった。 「しかし、鞭打たれるのに上半身を裸にされたからといって、なにも恥ずかしがることはない。わたしが卒業したイートン校では上半身だけではすまなかったものだ。アリス、続けて」 アリスはこのすらりとした若者の背後にまわり、ワイシャツの裾を引きずり出そうとした。若者はもがき、体をねじり、アリスを蹴ろうとさえした。そして、そのあいだ涙声でアリスに慈悲を乞い続けた。 「ああ、だめです。お願いだから、お嬢さん、ぼくをこれ以上、辱しめないでください!」 わたしはどこまでも女々しいこの若者に腹が立ち、彼のほうに近寄り、彼のワイシャツのボタンをはずし、その前の部分の裾を引っ張り出した。同時にアリスも後ろのほうのワイシャツの裾を引きずり出した。 ワイシャツをからげた瞬間、わたしは飛び上がるほど驚き、一瞬、わが目を疑った。目の前には、男性用の肌着ではなく、肩紐のついた、ピンクのキャミソールがあったからだ。そのうえに、疑うべくもない乳房の膨らみ! われわれのウィル・ポンソンビーは若者ではなく、若い娘だったのだ! 「いったいこの変装はどういうことだ!」 わたしは迂闊だった自分自身とこの性の悪い小娘に腹が立った。 「お願いです、わたしは鞭でもなんでも打たれます。ですから、服だけは取らないでください!」 (中略) 「いいだろう、ウィルヘルミナ」 わたしはきっぱりと決定をくだした。 「三ポンドはおさめていいし、ウィロビー氏にはなにもいわないでおこう。その代わりに、きみを鞭打つ、もっとも相応しいやり方でだ。つまりそのズボンをおろし、裸のお尻に柳の小枝の鞭を受けなければならない」 (中略) ズボンが遂におろされ、その下に白い綿のズロースが現われたのを見て、わたしのコックが固く脈搏つのを感じた。アリスがウィルヘルミナの背後からわたしを見て、ウィンクした。 アリスとわたしは娘をはさんでひざまずき、激しくあらがう、ほっそりと伸びた長い脚からズボンをはぎ取った。今は、ウィルヘルミナ・ポンソンビーははだけたワイシャツの下にキャミソールとズロースも露わに、細長く青白い足をほとんどむき出しにしてロープにぶらさがっていた。あとつけているものといえば、グレー色のウールのハイソックスと黒のパテント革のブーツだけである。 わたしはいつの間にかキャミソールの肩紐に手をかけ、結び目をほどいた。キャミソールは軽やかにかかとのほうにすべり落ちていった。アリスがそのキャミソールをウィルヘルミナの足から抜き取った。 喉からズロースのウエストバンドのところまで裸にされた若い娘は大声を上げて叫んだ。 |
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