Roman Books
抜粋




【続・禁断の果実】   作者不詳 足利光彦・訳  昭和56年発行
(原題 Forbidden Fruit)



フィービは間もなく三人の娘たちを庭から引きずるようにして連れてきた。三人とも顔を真っ赤にして泣きわめいていた。フィービのいうところでは、ちょうど長女のパティが妹たち二人ととっくみあいの喧嘩を演じていたところだったので、三人ともフィービから頬っぺたをぶたれたところだということだった。フィービが言った。

「さあ、おまえたち、さっさと顔を洗っておいで。そしたらパーシー坊ちゃまの見ていらっしゃるまえでお尻を鞭でぶってあげるから。そしたらきっと少しは薬が効くでしょうからね」

いちばん下の娘のスーは十歳ぐらいだったが、わたしにそんなところを見られるのが恥ずかしいらしく、小さな両手で顔を覆っていた。だが、フィービはまるでほんとうに腹を立てているかのように子供たちを手荒く扱い、まず濡れたタオルで三人の顔と両手を手荒く拭うと、今度は子供たちの衣服が泥んこになっているから、 と言いだして三人の着ているものを次々と剥ぎとり、とうとうおしまいには三人ともストッキングと靴のほかは薄いスモック一枚という恰好にしてしまった。

「ほんとにこんなに汚ならしくってお行儀の悪いいたずらっ子ったらありませんわ、パーシー坊ちゃま。もう絶えずぶったり叩いたりのしどおしですわ。でもどんなにひどく叩いたってこの子たち全然こたえないんですものね」

そういいながらフィービはスーの体を自分の膝の上にひっぱりあげた。

「そうら、この子の膝も太腿も泥まみれでしょう? きっと地面の上を四つん這いになって這いまわってたに違いありませんわ! ほんとに、汚いったらありゃあしない!」

フィービがスーのぽっちゃりしたお尻を二度三度とぶっ叩いた。スーが泣きわめいた。

「痛いよう、母ちゃん! もう堪忍して! もうしないから! これからいい子にするからもうぶたないで!」

だがフィービはいっこうおかまいなしに、ぴくぴく震えているスーのお尻をわたしの目のまえにむきだしにして情容赦もなくぶっ叩いた。それはなんともいえず悲劇的な光景だった。スーがぶたれてもがくたびに、そのばら色のお尻の割れ目からまだなんにも生えていないつるつるのスリットが恥ずかしそうに顔を覗かせるのだった。

やがてフィービはまるで放りだすような勢いでスーをわたしのほうに押しやると、今度は真ん中の娘のミニーをつかまえて同じようにお尻をぶっ叩き始めた。わたしはスーを自分の膝の上に引き寄せて、やさしくいたわってやりながら、その幼い顔に接吻して溢れでる涙を吸い取ってやった。その一方では片手をスーのスモックの裾につっこんで、まだぴくぴく震えているお尻をそっと撫でてやった。わたしの指先がスーの幼いあそこに触れ、わたしはいつか全部の指を使ってスーのその部分を心ゆくまで弄んでいた。

そのあいだにもフィービはミニーの小さなお尻に容赦のないお仕置きを加えており、だからわたしはそちらからも目を離すわけにいかなかった。ミニーはわあわあと泣き叫びながら愛らしいお尻をひくひくと動かしていた。その健康的に日灼けした顔と真っ白なお尻は一種独特のコントラストをなしていたし、またそのムッチリと白いお尻がフィービの手で叩かれて、みるみるばら色に染まっていくのもちょっとした見ものだった。

「さあ、もう一つ、もう一つ、それからおしまいにもう一つよ!」

フィービはハアハアと息をはずませながら、なおもなきわめくわが子にそうやって三度までもお仕置きをくわせた。

「さあ、パーシー坊ちゃまのところへ行って、これからはもういい子になりますって言うのよ」


 (中略)


それを目にしたフィービはまるで狂気に駆り立てられたようになって上の娘のパティにつかみかかり、たちまちスカートの裾をまくり上げてお尻をまるだしにすると、細い藤の杖をとりだして哀れな長女のお尻を情容赦もなく打ちすえ始めた。

ひと打ちごとに皮膚に赤い痕ができ、それがたちまちみみずばれになった。パティが恐ろしがって金切り声をあげたが、好色な狂気にとりつかれた母親はそれにはまったく耳を貸す様子もなく、おまけにもともとこの小屋は人里離れたところにあったから、ほかの人間がその叫び声を聞きつけるはずもなかった。


小屋の片隅には少し奥へひっこんだ部分があって日頃はそこはカーテンで仕切ってあったが、フィービはそのカーテンを引いてそこに置かれているベッドにパティをつれて行ってうつぶせに寝かせた。

パティはうつぶせの姿勢のまま胸も張り裂けんばかりの有様で啜り泣いていたが、フィービはそんなことにはおかまいなしにわたしをそのベッドのそばにつれて行き、自分が娘のお尻につけたその藤の杖の痕をとっくり検分してくれるように言った。


パティのお尻はまだぴくぴく震えており、みみず張れの痕は早くも暗褐色に変わりかけていた。一日経てば恐らく青い痕が残るだろうと思われた。



            
【グルッシェンカ】   作者不詳 中川法江・訳  昭和59年発行
(原題 Grushenka)

第四章

 グルッシェンカは悲鳴をあげ、痛む場所を両手で覆い、思わず主人から逃げ出した。ネリードワはその悲鳴にひどく心を掻き乱され、体罰を与えてやると息まいた。革のスリッパに手を伸ばした時、その目が冷たく光っていた。グルッシェンカに膝の上に腹ばいになるよう命じた。

グルッシェンカの尻と腿に何度もスリッパが打ちおろされる。その度に、刺すような痛みが体を貫いた。スリッパの嵐は容赦なく襲ってきた。グルッシェンカは身をよじり、脚をばたつかせ、泣き叫び、悲鳴をあげたが、終にすすり泣き始めた。尻と脚が、赤く焼けた鉄を押しつけられているようだ。

目の前で暴れる裸の体が、ネリードワを刺激し始めた。体の奥が疼くような気がした。


 (中略)


 翌日の午後、ネリードワが忘れていなかったことがはっきりした。カテリーナはグルッシェンカを連れてくるようネリードワに命じられた。彼女は一言の説明もなく、いきなり言った。

「その娘を牛皮の鞭で五十回叩きなさい。それに、今後は男を寄せつけないように」

カテリーナは堅く唇を結んだ。ネリードワの命令どおりにしたら、日暮れ前に娘は死んでしまう。耐えられるわけがない。男でさえ、五十回も打たれないうちに息絶えてしまうのだ。

 カテリーナは、震えながら大声で泣きわめいている娘を地下室に引っ張って行った。地下の奥の片隅に、いろいろな道具を取り揃えてある体罰用の部屋があった。カテリーナは、笞刑台にグルッシェンカを連れて行った。グルッシェンカは目に涙をためたまま、おとなしく服を脱ぎ、その中央にあるサドルのようなものの上に体を乗せた。カテリーナが両腕と両脚を鎖でとめた。



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