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 妻からの情報





帰宅後、わたしは妻に海辺の少女のことをいろいろと尋ねてみた。わたしにとってこれほど興味をそそられるお話はないのだ。妻のほうもそんなわたしの心情をよく察していた。

「 わたしはね、あのおうちのことは何でも知っているのよ。だって奥様がみ〜んな喋るんですもの。あのお嬢ちゃんだって、わたしには洗いざらい喋ったわ」

「 あの子はおまえに気を許していたのか?」

「 気を許すもなんの、あの子が生まれるときから家政婦をしているのよ。あなたの稼ぎが悪いもんだから。お蔭様であの子のうんこやおしっこまでお世話をさせてもらったわ。やれやれ、何度おしめを代えさせられたことやら」

妻にとってみれば自分のほんとうの娘のような気持ちだと言う。だから海辺でわたしがジロジロと娘の体を眺めることに不快感を催していたらしい。どうも嫉妬ではなかったようだ。


「 ところでだな。あの子をお仕置きしたことってあるかい?」

「 ほら、きた。そろそろくると思ってたわ。でもいいわ、教えてあげる。それはもう、何度おしおきをしたことだか。奥様に懲戒権を与えられていたのよ。かわいいんだけどね、とってもお転婆で大変だったのよ」

「 それであの子は泣いたのか?」

「 いつも大声で泣いたわ。両脚をバタバタさせて。それにお尻を左右にくねらせてね、あの腰の捻りなんか、とっても魅力的でたまらなかったわ」

「 ・・おまえ、変態なのかい?」

「 何ですって? あなたにそんなことを言う資格はないわ」

「 まあいい。念のために聞くが、どんなお仕置きをしたんだ? その言葉が聞きたい。それに幾つになるまでやったんだ?」

「 もちろんあなたの大好きなスパンキングですよ。幾つになるまで? う〜ん、十二歳までだったわ。ベビ−先生が家庭教師としてくるようになってから奥様にとめられたのよ」

「 それはまたどうしてだい?」

「 奥様が心配したのよ。だって学校で先生に打たれ、おうちでは母親に打たれ、そのうえ家庭教師に打たれ・・これでわたしまで加わるとあの子が大人不信に陥ってしまうって言うのよ」

「 それは確かにあるかも知れんな。しかしそういうことはだな、つまりあの娘はベビ−先生にも折檻されたってことかい?」

「 そうよ、もちろんお尻をね。わたしからよりもたくさんお仕置きされたんじゃないの? だって、ちっとも勉強はしないし、テストの点数も悪かったし、そっちのほうがお仕置きされる理由がいくらでもあったと思うわ」


昔なら家庭教師がその家の子供をよくお仕置きしたものだ。親が家庭教師に懲戒権を与えていたからだ。

あの美少年・ルソ−でさえも女家庭教師からしょっちゅう尻を鞭打たれたという。また女の子のバレイやピアノレッスンでは、厳しいスパンキングが上達への近道と考えられていた。

ベビ−先生は娘より十歳も年上だ。それに娘のほうは勉強が嫌いで、おてんば娘だったという。

そういう意味では、家庭教師が娘をお仕置きしたところで何ら不思議な話ではない。しかし、このお話に甘美で倒錯的な快楽を覚えるのはわたしの心の奥底に潜む異常心理のせいなのか?

その時、いきなり妻が喰ってかかってきた。さっきの変態呼ばわりが気に障ったらしい。


「 さっきはよくも言ってくれたわね。もう情報を提供しなくってもいいってことね?」

「 おお〜、すまん、すまん。いや俺だって一緒さ。とびきりの美少年をせっかんしたら、きっと興奮するだろうな」

「・・・・・・・・」

「 いやぁ〜こればかりは性別は関係ないさ、つまり美しいものをしつけの名のもとに折檻するって行為に嗜虐的な歓びを感じるんだよ」

「・・・・・・・・」

「 ・・・俺なんてね、よく美しい競争馬に生まれ変わった夢をみるんだよ。ほら、たまにいるだろ、スタイルのいい・・腰がくぼんでて尻の高く突き出た、脚の長〜い馬。そんな美しい馬になって、頭はいいが人間っていうちっぽけな動物に大きな尻をムチでたたかれたらどんなに幸福だろうってね、それがまた女性騎手だときたら・・

「 もういいわ、あなたにはついていけないわ。わたしは今から出かけるんだから」

「 おい! 話はまだ終わっとらんぞ!」

「 そう怒らなくても。 続きは夜にしましょう。たっぷりお話してあげるわ。それまではお預けよ」

わたしたちは思わずニンマリと微笑んだ。わたしがこんな話を聞くと「元気」になることを妻はよく知っているのだ。
わたしは情報を仕入れ、妻は元気を受け入れる。需要と供給が一致しているというのはまさにこのことだ。

それ以来、わたしたちは毎晩のように営んだ。そのお陰で妻から多くの情報を仕入れることができた。そのお話はわたしにとって堪らなく魅力的な物語だった。




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