Secret Book
おしおき少女 |
再び、妻の話は続く。 「
それからと言うものはね、奥様と夕食の準備なんかしているときに、二階からよくお嬢ちゃんの悲鳴が聞こえてきたのよ。あらあら、またベビ−先生の折檻が始まったってね。ふたりでよく溜息をついてたわ」 「
そんなにしょっちゅう、お仕置きされていたのか?」 「
そうね〜、週に1〜2回だったかしら? それがね、なんとも不甲斐なくヒィ−ヒィ−声を上げて泣くもんだから・・奥様も心配なさってね」 「
君はその現場を見たことがあるのかい?」 「
あるわよ、3回だけ。初めて見たのは、あの子がまだ十三歳のときだったわ。わざとらしくお茶を持って部屋に入っていくのよ。そしたらお嬢ちゃんがベビ−先生の膝の上に俯きに抑えられてたわ。それできれいなお尻をパチパチやられていたわよ」 「
それで、娘は成績が上がったのか?」 「
へぇ〜、あなたにしては真面目な質問ね、そんなことに興味あったの?」 「
君は俺がわかっとらんな。スパンキングの前後こそ重要なんだよ。つまり相当の理由があって、罰のあとはそれなりの成果がなければダメなんだ。スト−リ−なんだよ」 「
ずいぶん難しいお方なのね。じゃあ、その話だけど・・それがどんどん成績が上がっていったのよね〜。なんでも学校の先生よりずっとわかりやすかったらしいわ。奥様もすっかりご機嫌でね、先生のお陰だって。でもベビ−先生のほうはお子さまの努力だって言ってたわよ」 「
ほう〜、それで最終的に目的の大学に合格したわけだ」 「
そういうことなの。それにね、あのわがまま娘がどんどん素直になってね。お勉強だけじゃなく、振る舞いや仕草まで変わっていったわ。いつの間にやら、すっかり娘っぽくなっちゃって」 わたしはその頃、妻の話にメモをとるようになっていた。なぜならいつかこの話をネタに小説を書いてみようと思っていたからだ。営利が目的ではなく、自分だけの「秘密の本」を作りたいと考えていた。 会話をしながら必死に記録しているわたしをみて、妻のほうはいつも呆れかえっていた。 「
では続きの話を聞くとしよう。君がおしおきの現場をみたという、そのあとの2回はどんな感じだったんだ?」 「
2回目に見たのは、たしかお嬢ちゃんが十五歳のときだった。その時にはもうすっかり大きくなってたわ。もともとあの子は早熟だったし。理由はわからないんだけど・・そうそう、あの時もベビ−先生の膝の上だったわ。もちろんお尻ペんペんよ」 「
それで尻は裸にされていたのか?」 「
されていたわ。でもなんだか不思議な気持ちだったわ。だって、先生はちっとも変わらないのに娘のほうはどんどん大きくなっていくでしょ?
ふたりの滑稽な場面を想像して部屋にはいったのよ。 「
それは俺もわかるような気がするよ。抵抗しようと思えばできるのに、甘んじて罰を受けているんだからな。しかもお尻にだよ」 「
そうね、なんだかあなたに聞いた美しい競争馬の話を思い出したわ」 「
似ているかも知れんな。たぶん痛みを与えられているほうに従順さとか可憐さを感じるんだろうな」
わたしはもう眠ろうとしている妻に無理を頼んで、さらに話を進めてもらった。 「
そうね〜、3回目に見たときは、お嬢ちゃんはもう十八になってたわ。あのときだって・・やっぱりお膝のうえよ。わたしが部屋にはいったときには、もうお尻を真っ赤にされていたわ。そうそう、たしか紐のようなもので手首を縛られていたわよ。抵抗しないようにってね」 「
おいおい、そんな年頃になってまだベビ−先生に折檻されていたのか?」 「
それがね、されていたのよ。最終学歴を決めるもっとも大事な年頃ですからね。それにね、しつけの誓約書をみたことがあるんだけど、有効期限は娘が十八歳までになってたわ。つまりハイスク−ルを卒業するまでってことよね?」 「
一度、そのときの光景を見てみたいもんだな」 「
ビ−チでふたりを見たでしょ? ベビ−先生の体格はもちろん変わってないわ。それに娘のほうもそんなに変わっていないと思うわ。どう? これで想像できそう?」 「
出来んな。そもそもあんなに大きくなった娘を小さな膝にのせれるのかい?」 「
それがね、キチンとのせられているのよ。あのときだってベビ−先生ったら膝の上に大きなクッションを置いてね、その上に娘がうつぶせにされているの。そしたら、すっかり色っぽくなったお尻が豊かな曲線美をえがいてね、限りなく丸みを帯びて盛りあがっているの。 「
幻影的ね。俺はそういうのを見たいんだな。もう普通のビデオは詰まらんよ。それにやっぱり実話はいいよな」 その後も妻の話は続いた。わたしはそれを聞いているうちにまた「元気」になってしまった。そして、思春期の少年のように「位置」をなおした。それをみた妻がわたしを馬鹿にする。 「
あなた、五十にもなって、まるで十代の子供みたいね? こんな話だけで元気になるなんて」 「
こればかりは仕方ないんだ。君にはわからんと思うが、俺の場合は想像しているときが一番興奮するんだよ。現実をみるとそうでもないんだ。ここはもっとこうでなくてはいかんみたいな。あからさまになるより可能性を残しているほうがいいんだ」 「
よくわからないわ。そろそろ寝ていい?」 「
あの件はどうなったんだ? ほら、前に頼んでいた件だよ」 「
あれね、もう話をしたわよ。それで快くOKしてくれたわ」 「
ほんとうかい! まったくおまえってやつは・・ 「
寝るわよ」 妻は背中をこちらに向けると、やがてすやすやと眠りこくってしまった。
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